車田先生の日々是世界史(第3回 分かっているようで実はわかっていない歴史の基本的なこと)
数日前,Yahoo!ニュースを電車の中で通勤途中に見ていたら,オヤって思う記事が出ていました。
フランスの国旗の色が,若干変わっていたのに3カ月間気付かれていない事をフランス政府が発表していました。(私も全く気付いていなかったー)国旗のルーツについては,いずれまたつづります。
>>フランス国旗についてのニュースはこちら(朝日新聞 2021年11月17日 6時35分)
そこで今回は,なんとなーく分かっているようで「説明してっ」と言われれば,きちんと説明できない歴史の基本的な事(国や政治体制)について綴っていきます。(意外といい年齢を重ねた大人も説明できない人が多いですよ。)
基本的な事を知っておくと,なるほどなーって考えるきっかけになるかもです。(学校で習っている事を忘れているだけなんですけれど…💦)
さて,みなさんは国ってどんな種類があるのかと考えた事があるでしょうか?
国にはいくつかの種類があります。国の正式な名称を国号と呼びます。
さらに君主が同じ家名で統治している系列を王朝と呼びます。例えば,フランス王国は国号で,ヴァロワ朝は王朝名です。ヨーロッパでは王朝が変わっても国号が変わらない事が割と多いのですが,中国では王朝が変わると国号も変わる事が多いんですよ。
国の種類として主として,帝国・王国・公国・共和国があります。
帝国は,皇帝が支配している国で,皇帝が広大な支配権を持っていて,複数の民族を統治している国です。
王国は,王が統治している国で,王よりも強い権威を持つ皇帝や教皇などによって承認されて王となる場合もあります。
公国は,王国よりも規模が小さな国で公爵が統治する国です。共和国は,君主がいない国で現在の世界では最も多い国です。
政治制度は,君主政(君主制)・共和政(共和制)・民主政(民主制)・大統領制・議院内閣制・同君連合・連邦制などがあります。
君主政とは,特定の人物が君主として統治している政治体制で,その多くは世襲で帝国や王国が当てはまります。
共和政とは,君主を持たない政治体制で,近代国家としては人民主権を基本とする国です。
民主政とは,民衆が多数派として主権を持つ政治体制です。貴族政とよく比較をされます。世界史だと古代ギリシア・ローマなどの比較で扱われますね。
大統領制とは,現在のアメリカ合衆国やフランスに代表される国民が行政権を持つ大統領を選ぶ政治体制です。ただし,大統領よりも首相の権限が強い国もありますよ。例えばドイツなどが当てはまります。
議院内閣制とは,内閣は国会の意思によって成立(多くは国会の議席を最も多く獲得した政党)し,国会に対して内閣が責任を負う政治体制で,イギリスで18世紀に初めて成立しました。日本の政治体制も議院内閣制ですね。
同君連合とは,1人の君主が複数の国を統治する政治体制で,世界史ではフェリペ2世統治下のスペインとポルトガルや1397年,デンマーク女王マルグレーテの下で成立したデンマーク・スウェーデン・ノルウェーのデンマーク連合王国(カルマル同盟)などが例として挙げられます。
連邦制とは,複数の国が一つ国としてまとまっている国を構成している政治制度です。アメリカ合衆国やソヴィエト連邦など当てはまります。
今回は,基本的な知識を紹介しました。いかがだったでしょうか?
こんな事は,「百も承知だよ」と思う方もいらっしゃると思いますが,今後も色々な歴史の基礎知識を綴っていこうかと思っております。では,今回はここまで!
この記事を書いた人:車田恭一
30年以上にわたり教壇に立ち、都内私立高校、河合塾、Z会東大マスター、東進ハイスクール、早稲田塾、早稲田ゼミナールなど大手予備校で世界史を担当。当塾のブログで、タイムリーな話題と歴史的な出来事を絡めて綴った「車田先生の日々是世界史」を執筆中。